毎日新聞 【濱田元子】
くりっとした愛嬌のある目が印象的な、注目の若手チョウソンハ。「理屈でものを考えては絡めとられるんです」とそのよどみない口調はキレがいい。昨年の「ザ・キャラクター」に続き、来月開幕の「南へ」と、NODA・MAP作品(ともに作・演出は野田秀樹)への舞台出演が続く。熱い稽古の真っ最中だ。
「南へ」は火山観測所が舞台。火の山が好きな新任の観測所員を妻夫木聡、虚言癖のある女を蒼井優、所長を渡辺いっけい、チョウソンハは観測員を演じる。
「野田さんからは、メッセージがすごく飛んできるんです。考えてもしょうがない、でも考え続けなきゃしょうがないんだよ。という二つのメッセージ。口に出して語らないがゆえにビシビシ飛んでくるので、刺激的ですね」と充実ぶりを語る。
演劇との出会いは高校時代。バンドでパンクやハードコアをやっていたが、友人に誘われ学園祭で清水邦夫の密室劇に出演した。「バンドでは突き抜けたいから、もっと激しく、もっと音量を求めていた。でも舞台の静寂の中で集中力を味わった時、『音をもっと』という以上の突き抜けた感じがあった。バンドでやっていたものがひっくり返った感じがしました」
そして大学在学中から演劇を始め、つかこうへいや岩松了などさまざまな舞台に出演。映像でも活躍する。
昨年は舞台「春琴」でロンドン、パリ、台北と回った。演出のサイモン・マクバニーの要求の前に「できないものはできないと肯定して、乗り越えていかなければならないことの連続だった。俳優がする作業って何だろうってすごく考えさせられました」。今年30歳。真剣なまなざしから、さらなる高みへの気概が伝わる。
2月10日~3月31日、東京芸術劇場中ホール。
0 件のコメント:
コメントを投稿