2011年1月22日土曜日

D.ビントレー芸術監督による演目説明会

D.ビントレー技術監督による項目説明会
2011/2012シーズン
バレエ&コンテンポラリーダンスラインアップ発表!
2011/2012シーズンセット券発売に合わせ、デヴィッド・ビントレー舞踊芸術監督による演目説明会が行われた。新シーズンに向けた意気込みとラインアップの魅力が語られた。
 
日時:2011年1月22日(土) 17:10~18:00
会場:新国立劇場 オペラパレス客席
出演:デヴィッド・ビントレー舞踊芸術監督
    小野絢子、長田佳世、米沢唯、湯川麻美子、川村真樹、本島美和、
    福岡雄大、山本隆之、菅野英男 
    <新国立劇場バレエ団ダンサー:パゴダの王子出演予定メンバー)>
 
バレエ ラインアップ
・ビントレーのパゴダの王子<世界初演・新制作>
       2011年10~11月
・くるみ割り人形
       2011年12月
・ローラン・プティのこうもり
       2012年2月
・エイフマンのアンナ・カレーニナ
       中劇場
       2012年3月
・白鳥の湖
       2012年5月
・マクミランのマノン
       2012年6~7月
 
コンテンポラリーダンス ラインアップ
・中村恩恵×首藤康之
   Shakespear THE SONNETS
       2011年9~10月
・近松DANCE弐題
   Aプログラム 「女殺油地獄」
   Bプログラム 「エゴイズム」
       2011年11月
・小野寺修二カンパニー・デラシネラ
   カラマーゾフの兄弟
       2012年2月
・新国立劇場バレエ団によるダンス公演
   DANCE to Future 2012
       2012年4月
 
 経費削減の影響があり、演目を考えるのに大きく影響したとのこと。料金設定も難しかったとのこと。多くの人に観てもらうことによりさらに良い演目に出来ればと希望しているらしい。新国立劇場バレエ団は若いバレエ団なのでその特徴を出せる演目にしている。なるべくインターナショナルなレパートリーを心がけた。パゴダの王子は30年来考え続けてようやく実現できるのが楽しみだ。くるみ割り人形やアンナ・ァレーニアは再演の要望が強かった。こうもりやマノンも楽しんでもらいたい。既に次のシーズンの演目も準備しつつある。
 なお、パゴダの王子の主要メンバーが前にそろい観客からの質問に答えた。
 
D.ビントレーが日英を結ぶ新たな舞台を創る!
『パゴダの王子』
 パゴダとは英語で「仏塔」のこと。語源的には「神像の家」「神に属する家」などの意味を持つーー。振付師クランコが構想し、英国人作曲家ブリテンに委嘱して創られた幻のグランドバレエ『パゴダの王子』は、その後、英国を代表する振付師の一人マクミランも振り付けました。英国ロイヤルバレエの系譜に連なるこの作品を、今回 D.ビントレーが全く新しいアイディアで創作しました。魔法でサラマンダー(大トカゲ)へと姿を変えられた王子が、妹と共に王国を救うために様々な冒険に立ち向かうという物語ですが、「30年来アイデアを温めてきた」というビントレーは、歌川國芳の浮世絵などの日本絵画からインスピレーションを得、物語にも独自のアレンジを加えることで日本の皆様により親しみを持っていただける展開となりました。また、この『パゴダの王子』が全幕版で演奏されるのは今回が日本初演という、音楽的にも非常に価値の高い公演となります。新国立劇場が世界に発信する注目作、必見です!
 なお、本公演は英国バーミンガム・ロイヤルバレエ団との共同制作となります。
 
クリスマスの決定版!こどもから大人まで楽しめるファンタジック・バレエ
『くるみ割り人形』
 クリスマスになると世界中の劇場で上演され、冬の風物詩となっているバレエです。チャイコフスキーの美しい音楽に乗って繰り広げられるファンタジックな物語は、こどもから大人まで魅了してきました。少女クララがクリスマス・イヴに体験する美しく不思議な物語は、金平糖の精の踊りやスペイン、アラビアといった各国の踊りで楽しく彩られます。新国立劇場の『くるみ割り人形』は牧・前芸術監督によって改訂され2009年の初演時には大好評をいただきました。美術家オラフ・ツォンベックの幻想的な舞台美術によって、クリスマスのお出かけにぴったりな夢のような舞台です。是非、今年のクリスマスは新国立劇場でお過ごしください。
 
エスプリの効いたお洒落なバレエ、魔術師プティの傑作!
『こうもり』
 現代バレエの巨匠、ローラン・プティの魅力あるバレエ『こうもり』が新国立劇場に戻ってきます!ヨハン・シュトラウスⅡ世による有名なオペレッタ『こうもり』をプティが自在に解釈し、プティ風の小粋なエスプリを効かせた明るく、華やかなバレエです。新国立劇場ではニューイヤー・ガラで抜粋上演するなど、お客様から大変人気の高い作品の一つ。オペレッタには出てこないナイトクラブでの給仕の踊りやカンカンダンスなど楽しい踊りが随所に散りばめられて、最後はもちろん華麗なウィンナ・ワルツで締めくくられます。バレエのみならずミュージカルやレヴューまであらゆるエンターテイメントに通じた舞台の魔術師プティの本領発揮といえる作品です。幕が開いたその瞬間から、ゴージャスで幸せな気分になれるちょっぴり大人のエンターテインメント、是非お見逃しなく!
 
リピーターが続出した傑作、待望の再演!
『アンナ・カレーニア』
 ロシアの文豪トルストイの同名小説を、現代ロシア・バレエ界の鬼才、ボリス・エイフマンがバレエ化した作品。チャイコフスキーのドラマティックな音楽に乗せて、アンナの狂おしいまでの愛が描かれた悲劇バレエです。巧みな心理描写、複雑な感情表出に長けているエイフマンの『アンナ・カレーニナ』は世界的にも評価が高く、各国で絶賛されています。ダンサーに高い表現力・技術を求めるこの作品は、新国立劇場バレエ団の水準の高さをご堪能いただけるバレエでもあり、2010年の上演時には驚嘆のお声をたくさんいただきました。また、一度ご覧になったお客様が何度もご来場されるという熱狂的な現象が起こった傑作で、人気の高い作品です。お席の確保はお早めに。
 
ゴールデン・ウィークは、古典バレエの名作でお楽しみください。
『白鳥の湖』
 観たいバレエの筆頭にあげられる『白鳥の湖』。チャイコフスキーの抒情的な音楽と、見ごたえのある踊りで古典バレエの中でも特に人気の高い踊りで古典バレエの中でも特に人気の高い作品です。たおやかな白鳥オデットと情熱を秘めた黒鳥オディールの鮮やかな対比と、オディールのみせる32回転、白鳥たちの一糸乱れぬコール・ド・バレエなど見どころ満載。2006年に牧阿佐美前芸術監督が改訂した新国立劇場のオリジナル版は、オデットの悲しい運命が浮かび上がるプロローグが付け加えられ、美しい愛の物語を引き立てる美しい舞台美術・衣装とともに皆さまを神秘的な世界へと誘います。初めてのお客様も感動をお約束できる舞台です。ゴールデン・ウィークは新国立劇場へ足をお運びください。
 
ドラマティック・バレエの最高峰、9年ぶりの上演!
『マノン』
 文学史上初めてファム・ファタールが描いたと言われるアベ・プレヴォーの小説「マノン・レスコー」のバレエ版。英国人振付家マクミランが英国ロイヤルバレエの芸術監督の任にあった1974年に初演され大きな反響を呼びました。登場人物の心理を巧みに表現するマクミランの手法は、18世紀フランスの華やかで退廃的な社会に生きる、かわいらしく純粋でありながら次々と男心を弄ぶマノン、マノンを愛するデ・グリュー、したたかなマノンの兄レスコーといった複雑な人間関係を鮮やかに浮かび上がらせます。美しい舞台美術、マスネの繊細な旋律、マクミラン独特のアクロバティックなリフトが多用された踊りの数々など見どころがたくさんあり、世界の名だたるバレエ団がレパートリーに望み各地で上演されている大変人気の高い作品です。言葉を超えたドラマティック・バレエを新国立劇場でお楽しみください。
 
舞台芸術監督:デヴィッド・ビントレー
 舞台芸術監督として2シーズン目のオープニング作品として、新国立劇場バレエ団が『パゴダの王子』(ベンジャミン・ブリテン作曲)を世界初演することをとても楽しみにしています。
 これは30年来温めてきた私の夢が実現することにもなります。1957年にジョン・クランコが振り付けた『パゴダの王子』が初演された時から、私の恩師であり英国ロイヤルバレエ団の創始者でもあるニネット・ド・ヴァロワ女史が、この音楽を使って私の振付作品を創るように熱心に勧めていました。当時の私にはそれに相応しい手腕もありませんでしたが、女史の言葉は私の心に確実に種を播いたのでした。その後90年にケネス・マクミランのバージョンが成功を収めましたが、女史が若かりし私に下さった言葉とともに、この『パゴダの王子』は長い間私の心をさまよい続けていたのです。
 『パゴダの王子』が日本的背景の中で再構築できるかもしれない、と突然閃いたのは、日本滞在中のことでした。もっと正確には、歌川國芳の素晴らしい浮世絵を見ていた時でした。発想が湧きあがり、私はすぐに全体をある種の日本のファンタジーとして、もう一度イメージしはじめました。私はプロットを書き、デザイナーとともにこの魅力的なプロジェクトに取り組んでいます。イギリスと日本の文化と神話が融合した作品が、この2011年10月『パゴダの王子』として結実することでしょう。
 
 新シーズンが全幕バレエの世界初演で開幕するということだけでなく、牧阿佐美前芸術監督の斬新な『くるみ割り人形』やロシア人振付師ボリス・エイフマンの『アンナ・カレーニナ』を上演できることをとても誇りに思います。これらの舞台は2009/2010シーズンにここ新国立劇場を感動の渦に巻き込んだ作品なのです。
 加えて、2003年に新国立劇場で初演された英国のケネス・マクミラン振付によるクラシック・ロマンス『マノン』やフランスのエスプリに溢れたローラン・プティの『こうもり』を上演しますので、新シーズンはまさにそれぞれの国の香り豊かなシーズンになるでしょう。
 さて、新国立劇場バレエ団の熱烈なファンの皆様は、もし私が本シーズンも『白鳥の湖』を入れ忘れてしまったら、私を許してくれるでしょうか…? いいえ、大丈夫です。世界中で愛されているこのバレエを、この旅は2006年に改訂振付された素晴らしい牧阿佐美版『白鳥の湖』で上演します。
 新シーズンの演目が、皆様の想像力と精神を刺激して、何かしらを発見していただけるものになるよう願っております。
 

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