2011年1月20日木曜日

本音むき出し言葉のバトル 舞台「大人は、かく戦えり」

朝日新聞 劇評
「 大竹しのぶ・段田安則、秋山菜津子・高橋克実が2組の夫婦に扮し、言葉のバトルを展開する舞台「大人は、かく戦えり」が、東京・初台の新国立劇場小劇場で開幕した。子供のけんかについて話し合うための集まりが、夫婦の亀裂とそれぞれの心の裏側をさらけだす場になる。フランスの劇作家ヤスミナ・レザが書いた辛辣(しんらつ)な喜劇だ。
 男の子同士のけんかで、けがをした子の両親(大竹・段田)を、相手の子の両親(秋山・高橋)が訪ねる。大人同士の会話は、教養ある中流階級にふさわしく、落ち着いた調子で始まるが、次第に本筋を離れ、本音むきだしの激しい言い合いになっていく。
 大竹と秋山。様々な分野の舞台にひっぱりだこの2人も、この戯曲には手を焼いたそうだ。
 「とにかくしゃべりっぱなし。最初は軽いタッチのコメディーかと思ったのですが、やってみたらすごく大変」と大竹は言う。「けいこを重ねるほどに難しくなる。これなら、シェークスピアやギリシャ悲劇の方がやさしいくらい。登場するのは、裏表のある面倒くさい人たちばかりで、もっと正直になろうよ、と言いたいですね」と笑う。
 秋山は「よく出来ている作品ですが、その分、緻密(ちみつ)に演じるのは難しい。女性の強さが出て痛快な場面もありますが、あまりに痛烈で、お客さんに嫌われてしまうかもしれませんね」と話す。
 作者のレザは、「アート」など一癖も二癖もあるせりふ劇で国際的に高く評価されている女性劇作家。この作品は2006年、スイスで世界初演され、08年には作者自身の演出でパリで上演された。英語版は同年ロンドンで開幕し、09年からはブロードウェーで上演され、トニー賞作品賞などを受けている。
 これが日本初演。徐賀世子翻訳、マギー演出。シス・カンパニーが企画・製作する。 」

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