毎日新聞【小玉祥子】
「市川染五郎が2月のル テアトル銀座の「花形歌舞伎」第2部で、「女殺油地獄」の与兵衛に出演する。油屋の放蕩(ほうとう)息子の与兵衛が同業者の妻お吉を殺して捕まられるまでを描いた、近松門左衛門作品だ。
染五郎の初演は2001年6月の博多座。好評のため、早くも同9月に再演された出世役でもある。また演じたいと思いながら10年が経過したと話す。
「私の家(松本幸四郎家)には縁のない演目でしたが、やりたくて松嶋屋のおじさん(片岡仁左衛門)に教えていただきました。だらしないし、悪さもするが憎めないキャラクター。それが殺しまでしてしまいます」
カットされることの多い、与兵衛が穂縛される場面を上演し、脚本を担当する斎藤雅文が筋もわかりやすく通す。
「与兵衛は殺人にしても他人事で改心もしない。そこを明確に出したい。計画性もなく、言うことも変わりますが、その場、その場では本気なんです」
与兵衛の不気味な心理の変化と同時に、床に広がる油にまみれてのお吉殺しも見せ場のひとつ。
「刀を抜いた自分を最初は怖く思っていたが、次第にお吉を殺すのが楽しくなってくる。殺し場が一つの絵になっている。色模様のようになまめかしく作られています」
お吉は市川亀次郎。
染五郎のもう一役が、1部で亀次郎が7役を演じる「お染の七役」の鬼門の喜兵衛。すごみのある敵役だ。「すごいことをするのではないかと思わせておいて何もしない役です。ひとつひとつの動作を大仰にやるのが大事です」
2月1~25日
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