2010年12月20日月曜日

「魅惑のロシア!」 小野綾香(メゾ・ソプラノ) 吉留倫太郎(バリトン) 森裕子(ピアノ)

期待の音楽性による
アフターヌーンコンサート
Afternoon Concert
2010年12月20日(月)
12:20~12:45
JTアートホール アフィニスにて
 
*東京藝術大学の大学院生2人の歌声が素晴らしかった。ロシアの歌曲も良い歌が一杯ある。なお、アンコールのペチカは日本語で歌ってくれたのでさらに良かった。
 
ーVol.297-
「魅惑のロシア!」
 
♪リムスキー=コルサコフ/歌曲集「詩人に」Op.45  歌唱:小野綾香(メゾ・ソプラノ)
 リムスキー=コルサコフは「管弦楽の大家」と呼ばれ、それぞれの楽器の特性を最大限に生かしてオーケストラに組み込むことで、輝くばかりの色彩的な音色を生み出すことに成功した作曲家である。歌曲集「詩人に」はプーシキンらによる5編の詩から成り、「芸術とはなにか、それを伝えるものの苦しみと使命とはなにか」といった想いに満ちた曲集である。
 1曲目《こだま》は詩人の苦しみが、荒れる森の中で表現される。2曲目《奇跡》はリムスキー=コルサコフの得意とした海の描写が全体を包んでおり、海の表面が風によって波立ち、葦が揺れる様が感じられる。3曲目《八行詩》は彼の代表作であり、4曲目《疑い》は落雷や、平和な小川、木々のざわめく音など、次々と変わる情景描写が聴き手を楽しませる。5曲目《詩人》はみずみずしい輝きを持ち、「管弦楽の大家」と呼ばれたリムスキー=コルサコフの力量を存分に堪能できる一曲である。
 
♪チャイコフスキー/ドン・ファンのセレナーデ 歌唱:吉留倫太郎(バリトン)
 スペインの伝説上の人物を下敷きにした曲。今日も素敵な女性を見つけたドン・ファンは、窓辺に誘い出すため、歌を歌う。「おいで、ニゼータ…急いでバルコニーへ!」オペラ「エゲーニフ・オネーゲン」で大成功を収めたチャイコフスキーが、同じ年に書いたまさに円熟期の作品。
 
♪チャイコフスキー/夜 歌唱:吉留倫太郎(バリトン)
 「私」は「夜」を愛するがゆえ、嘆き、苦しむ。いったいどうして「夜」をこれほどまでに愛してしまったのか。そして、本当に「夜」のことを愛しているのか…「私」にはわからない。晩年のチャイコフスキーは暗い歌曲ばかり作曲しているが、これはそんなチャイコフスキー後期を代表する作品。苦悩する主人公の揺れ動く心を、見事に表現している。
 
♪チャイコフスキー/「スペードの女王」より『私はあなたを愛しています』 歌唱:吉留倫太郎(バリトン)
 サンクトペテルブルクの貴族社会に生きた野心家の青年士官ゲルマンと、伯爵令嬢リーザとの悲恋を描いた作品。ゲルマンは身分違いの恋に悩み、賭博で身を滅ぼす。このアリアは、リーザの婚約者であるエレツキー公爵によって歌われる。エレツキーはハンサムで家柄よく高貴な性格の男性だが、リーザはなぜか暗い瞳をもった情熱的な青年ゲルマンにひかれてしまう。華やかな舞踏会にリーザと連れ立ってやってきたエレツキーは、うかぬ顔をした彼女を見て、「悩みがあるなら打ち明けて下さい。私はあなたを愛しています、とても深く」と、思いを込めて訴える。
 
東京藝術大学
 
小野綾香:おの あやか(メゾ・ソプラノ)
 愛知県出身。東京藝術大学音楽学部声楽科を卒業し、現在同大学院修士課程2年に在学中。
 
吉留倫太郎:よしどめ りんたろう(バリトン)
 福岡県出身。東京藝術大学音楽学部声楽科卒業。卒業時に松田トシ賞を受賞。現在同大学院修士課程2年。
 
森裕子:もり ゆうこ(ピアノ)
 東京藝術大学付属高校、同大学を経て、同大学院修士課程修了。シュトゥットガルト国立音楽大学留学。現在、東京藝術大学、聖徳大学各講師。二期会研修所ピアニスト。
 
(これからのアフターヌーンコンサート)
2011年1月7日(金)
Vol.298 東京藝術大学
藝大邦楽科によるミニコンサート『永久(とわ)のながれ~その先にあるもの~』
「花の寺」「流れ」
金木祐木 西国領君嘉 山形彩乃(日本舞踊)
萩岡未貴 萩岡信乃(箏) 日向史子(十七弦) 三枝舞(笛) 杵屋五郎(三味線)
 
2011年1月20日(木)
Vol.299 国立音楽大学
ソプラノ・バリトンコンサート~若き情熱に乗せて~
ロッシーニ/歌劇「セヴィリアの理髪師」より『私は街の何でも屋』
ドニゼッティ/歌劇「ランメルモールのルチア」より『ここへおいで、ルチア』
尾形詩織(ソプラノ) 清水勇磨(バリトン) 吉田彩(ピアノ)
 
2011年2月9日(水)
Vol.300 洗足学園音楽大学
洗足学園音楽大学 室内楽コンサート
※出演者・曲目は学内オーディションにより選考

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