2010年12月16日木曜日

トッパンホール ランチタイム コンサート 佐藤俊介(ヴァイオリン)

平成22年12月16日(木)

*トッパンホールのランチタイムコンサート、10時35分頃当日券をもらいに行ったらキャンセル待ちの整理券配布となっていた。大変な人気とのこと。12:05分にようやく入場を許されて会場に。ほぼ満席。佐藤俊介のヴァイオリンも素晴らしかったが、佐藤卓史のピアノ伴奏が素晴らしかった。大変満足。
 
TOPPAN HALL
Lunchtime Concert
~50回記念 スペシャルコンサート 1時間拡大版~
2010年12月16日(木)
12:15~13:15

ヴァイオリン 佐藤俊介
 高い技術と豊かな音楽性を磨き、現在ヨーロッパを拠点にキャリアを築く国際派。
ピアノ     佐藤卓史
 第70回日本音楽コンクール第1位。

ウィーンとパリーーー
 
*今日のコンサートのテーマは、ウィーンとパリ。
 
プログラム
 
モーツァルト:ヴァイオリン・ソナタ第29番 イ長調 K305(293d)
Mozart:Sonate fur Klavier und Violine A-Dur K305(293d)

*ウォルフガング・アマデウス・モーツァルト(1756-91)はオーストリアのザルツブルク出身だが、彼が活躍し、多くの作品が初演されたのはウィーン。一流のピアニストとして知られていたモーツァルトは、ヴァイオリンとヴィオラも弾くことができ、ヴァイオリンのために多くのソナタやコンチェルトを書いている。1778年3月から9月まで、彼は仕事を求めてパリに滞在するが、失敗に終わっただけでなく、同行した母もパリで亡くなり、旅は悲惨な結末を迎える。今回のソナタK305は、パリを去って間もなく書かれているが、過去の悲劇を吹き飛ばすような明るさに溢れる作品となっている。
  
クライスラー:愛の喜び
Kreisler:Liebesfreud

*モーツァルトが活躍したウィーンは、フリッツ・クライスター(1875-1962)の生まれた街。20世紀の初めまでは、演奏者が作曲をし、自作自演を行うことは一般的であった。演奏者として世界的な知名度を得たクライスラーも、ヴァイオリン協奏曲や弦楽四重奏曲までも含む作品を残したが、現在聴く機会が多いのは小品で、その中でも愛奏されている曲といえば、ウィーン伝統的なワルツが用いられた《愛の喜び》と《愛の悲しみ》である。12歳でパリ高等音楽院を卒業し、1938年から43年までフランス国籍を持っていたクライスラーは、まさにウィーンとパリを結ぶ人物でもあった。
  
クライスラー:愛の悲しみ
Kreisler:Liebesleid
 
サラサーテ:ツィゴイネルワイゼン
Sarasate:Zigeunerweisen
 
*作曲家でもあったヴァイオリニストといえば、パブロ・デ・サラサーテ(1844-1908もそのひとり。スペイン出身の彼は、クライスラーと同様、パリ高等音楽院に学び、スペインとフランスに在住しながらソリストとして世界を股にかけて活躍した。彼のほとんどの作品はヴァイオリンのための小曲だが、人気は今でも高く、《ツィゴインルワイゼン》と《祈り》もそうした曲。
 
サラサーテ:《スペイン舞曲集》より<祈り> Op.23-1
Sarasate:‘Playera’Op.23-1,extrait de “Danzas espznolas”
 
サン=サーンス:ヴァイオリン・ソナタ第1番 二短調 Op.75
Saint-saens:Sonate pour violon et piano No1 en re mineur Op.75 
 
*サラサーテのテクニックと上品な演奏は、当時のパリの作曲家達に刺激を与えた。その中のひとりがサン=サンス。カミーユ・サン=サンス(1835-1921)は、いわゆる「神童」だった。2歳でピアノを始め、3歳で作曲し、7歳でラテン語ができたといわれている。彼は数多くの作品をサラサーテに献呈する一方(今回のソナタは違う)、バッハやモーツァルトを手本としていたため、フランス・ロマン主義の作風と古典的な雰囲気が調和されたスタイルを持つ作曲家である。

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