2010年12月13日月曜日

東京藝術大学音楽学部付属音楽高校 アカンサス・コンサート 観覧

平成22年12月13日(月)
東京藝術大学音楽学部付属音楽高校
アカウンス・コンサート 第4回
付属高校201ホール
13:00~14:30
 
高校1,2年生の演奏ではあるが、若さ溢れる素晴らしい演奏であった。
感性を高めながら精進をお願いしたい。
 
プログラム
 
1.プーランク  クラリネット・ヴァイオリン・ピアノのための劇音楽より
          「城への招待」
                   クラリネット:新井ひまわり(2年)
                   ヴァイオリン:岡本誠司(1年)
                   ピアノ:大貫瑞希(2年)
 
 「城への招待」は、フランス出身の作家・脚本家ジャン・アヌイ(1910~1987)が書いた劇の為に、プーランクが作曲した曲です。1947年にパリのアトリエ劇場で初演された時には、「洗練の中に皮肉が込められた舞台装置と衣装に対してプーランクの音楽は完璧にマッチしていた。」と評価されました。この曲は、現在楽譜の使用に制限がある為、あまり演奏されることがありません。しかしその音楽はとてもチャーミングで、プーランク特有の優雅さや通俗性ぎりぎりまで迫る洒脱さに溢れていて、このままあまり知られずにいるのはとても惜しい作品です。ワルツやタンゴは舞踏会に始終流れている音楽の描写で、断片的であったり何度も繰り返されたりします。
 物語は、第二次政界大戦末期、4年間のナチス・ドイツ軍の占領からパリがようやく解放された翌日に、戦争に疲れ切った主人公イザベルが、昔まだ世の中が平和だった時代に想いを馳せているところから始まります。
 
2.メンデルスゾーン  ピアノ三重奏曲 第1番 二短調 作品49
               Ⅰ.Molt Allegro agitato
               Ⅱ.Scherzo Leggiero e vivace
                   ピアノ:西原清香(1年)
                   ヴァイオリン:小林壱成(1年)
                   チェロ:石崎美雨(1年)
 
メンデルスゾーンといえば、管弦楽やピアノ曲というイメージがあるかもしれませんが、室内楽にも優れた作品があります。比較的よく聴かれるのは弦楽八重奏とこのピアノ三重奏曲 第1番です。
第1楽章 Molto allgro ed agitato
  チェロの表情豊かな旋律で始まります。
  豊かな表情の中には暗さもあり、独特の柔らかな雰囲気があります。
第3楽章 Scherzo
  軽快、まるで妖精の踊りのよう。
  速いテンポで終始小気味よいパッセージが奏されます。
  最後は洒落た終わり方をします。
 
3.ドヴォルジャーク  ピアノ五重奏曲 イ長調 作品81
              Ⅰ.Allegro ma non tant
                   ピアノ:笹原拓人(1年)
                   ヴァイオリンⅠ:岡本誠司(1年)
                   ヴァイオリンⅡ:山口真由夏(1年)
                   ヴィオラ:小室明佳里(1年)
                   チェロ:岡本侑也(1年)
 
チェコ生まれの作曲家、アントニン・ドヴォルザーク(1841-1904)が1887年に作曲したピアノ五重奏です。
古典的に4楽章構成ですが、曲の随所にスラブ民謡を思わせる美しい旋律や民族的なリズム、またそれらを彩る豊かな和声が現れている。
本日演奏する第1楽章は、始めチェロによってソナタ形式の第1主題が穏やかに提示されますが、後はイ短調の枠にとらわれないめまぐるしい転調や、モチーフの変形・組み合わせによって、立体的に音楽が進行していきます。
 
ー休憩ー
 
4.ショスタコーヴィチ  弦楽四重奏曲
               Ⅰ.Largo
               Ⅱ.Allegro molto
               Ⅲ.Allegrtto
               Ⅳ.Largo
                   ヴァイオリンⅠ:岸本萌乃加(2年)
                   ヴァイオリンⅡ:荒井憂利奈(1年)
                   ヴィオラ:大野若菜(2年)
                   チェロ:藤原秀章(1年)
 
この曲が作曲された1960年は、ショスタコーヴィチにとって精神的危機に見舞われた年だった。
ショスタコーヴィチのドイツ語のイニシャル「Dimitti Shostakovich」より、D-S(Es)-C-Hの音形が全曲のテーマとして現れる。
戦争映画の音楽をかくため、ドレスデンに行った彼は戦争の惨禍を目の当たりにし、自身の精神的荒廃と重ね合わせた。
表向きには「ファシズムと戦争の犠牲者」に献呈するように見せつつ、自身への献呈として7月12日からわすか3日間でこの曲を作曲した。
 
5.ブラームス  ピアノ五重奏曲 へ短調 作品34
          Ⅰ.Allegro ma non troppo
                   ピアノ:星野友紀(2年)
                   ヴァイオリンⅠ:齋藤澪緒(2年)
                   ヴァイオリンⅡ:伊藤衣里(2年)
                   ヴィオラ:阪永珠水(2年)
                   チェロ:稲本有彩(2年)
 
ブラームスはピアノ五重奏をこの1曲しか書いていません。
この曲を書くのに約2年もの年月が掛っていますが、
その甲斐あって、この作品はこのジャンルを代表する名作となっています。
当初は弦楽五重奏曲として書かれる予定でしたが、2台ピアノのためのソナタに書き直されました。
しかしクララ・シューマンのアドバイスに従って、最終的にピアノ五重奏曲に改作されました。
1st movement
暗い情熱と力強い威厳をもち、重厚さや緻密さに溢れています。若々しい情熱も魅力的です。

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