2012年10月9日火曜日

新国立劇場中劇場 演劇講座「リチャード三世の魅力」を聴講する

平成24年10月8日(月・祝)
17:10~18:38
 
マンスリー・プロジェクト 10月
中劇場
 
演劇講座 リチャード三世の魅力
 
講師:小田島雄志(東京大学名誉教授)
    鵜山仁(演出家)
 
演劇講座の目的
シェイクスピアの作品中、珍しく仇役の主人公であるリチャード三世は、悪役にもかかわらず、数多ある登場人物の中でも抜群の人気を誇る。観客、演者双方惹き付けて止まない、その魅力の秘密に、シェイクスピアを愛する二人が迫る。
 
本来は、17時スタートの予定が、中劇場で直前に行われている公演が16時40分終演のため、10分遅れでスタート。熱心なファンが多数集まる。
最初、宮田慶子芸術監督の挨拶で始まる。
講師の小田島雄志さんと鵜山仁さんを紹介。小田島さんが杖をついて、左の眉の付近に絆創膏が。大変そうな雰囲気。どうしたのか気になる。本人よりおととい転倒し救急車に乗ったため、今日大丈夫か不安だったと報告あり。お年だから気を付けてください。話が聞けて良かった。
宮田さんは、現在、10月29日開演の「るつぼ」の稽古中とのことで、制作部の三崎力さんに司会を変わる。
最初に小田島さんより、1から分かるリチャード三世について説明を受ける。100年戦争、薔薇戦争。話始めると止まらない。約30分話し続けて45分まで話す。シェイクスピアの歴史劇の説明とランカスター家とヨーク家の系図を材料に話してくれる。
本当は15分程度の予定だったらしい。
・リチャード三世の魅力
小田島:悪役の主人公はリチャード三世とマクベス。悪役の魅力、最後に泣く人もいるほど魅力たっぷり、芝居っけたっぷり、愛嬌がある、人間の魅力。
鵜山:最初は普通に考えていたが、リチャード三世は劇場的な動き、筋書きを描きながら次第にそのようにならなくなってくる。裏切られる→劇場に裏切られる→最後までお客とキャッチボールする。かくありたいと夢見る人。現実の自分を乗り越える、乗り越えようとする、人間とか人生とかを。
50分頃、突然サプライズで主役リチャード三世を演じる岡本健一が登場。
・この役の魅力
岡本:本が面白い。筋書きをさらけ出し、皆と時間を共有する。1590~1592年に上演した芝居を今やっているということが素晴らしいこと。
小田島:豊臣秀吉の頃だ。歌舞伎ももう少し後から。
ーーー
鵜山:初日に池辺晋一郎さんが観てくれて、かなり珍しいリチャード三世。リチャードがアルカリ性(酸性ではない)。
小田島:仲代、山崎→悪党というイメージを植え付けた。本当はリチャード三世は30過ぎに死んでいる。
三崎:リチャード三世の遺骨かもしれない骨が出てきた。現在調査中。10月2日はリチャード三世の誕生日。
鵜山:岡本さんありきのリチャード三世。ヘンリー六世の2部の終わりに出てきてオーバー・ザ・レインボーをテーマソングにした。(著作権の関係でお金がかかる)。虹の向こうに夢を語る。今回最後に夢を見る。(今回の音楽は「子供の情景」)。岡本さんをみているとそうなる。
小田島:シェイクスピアの悪役はリアリスト。岡本さんはロマンチスト。お客さんを味方につけている。
岡本:悪役には多面性がある。バッキンガムを利用している。
小田島:主人公が独白からスタートする劇はこれだけ。シェイクスピアはまだ若かった(20代)。悪党宣言→筋書きが出来ている→芝居させる(劇作家・演出家・役者)
女性=呪う人 訳しながらいやになって省いて欲しいと思っていたが実際舞台を見てみると立体的になる。呪いが亭主自慢や子供自慢になっている。
 
ここから質問時間になった。
何人か質問したが、
困った人:湯島から来た●●と話し始めた高齢者。いやな予感がしたら自分の経歴などを長々と話し始める。何を質問したいのか不明。典型的な老人の自慢話。困ったものだ。
良かった人:最後に質問した近くに座っていた若い女性。短い質問を3人にそれぞれすることにより的確な回答を引きだし締まった。
 
気になった回答:
舞台装置について
鵜山:時間は流れて行く→最後は皆死んでいく→長い時間の中で何もない景色
実際、講演終了後舞台を触ってみたら本当に砂が敷き詰められていた。びっくり。
小田島:シェイクスピアが20代で書いている。ハムレットは37歳頃。心の中までは書いていない時期。リチャード三世は例外的。ヘンリー六世には魅力的な人物が出てこない。歴史が主役となっている。歴史はグランド・メカニズム。巨大な機械の歯車が王。歴史の流れの中で観られる。リチャード三世は魅力的。仲代とか山崎が演じると90%はリチャード三世がなってしまう。鵜山演出は背後に歴史が流れている、厚みのある芝居になった。
岡本:最後の方はセリフを覚える気がしなかった。死に向かっていくので。
小田島:翻訳は7年間で37本訳した。自分のことをどのように呼ぶか。英語だと、I、Youだけ。日本語だと人称代名詞。固有名詞・・・人間関係をどのように表現するか。
鵜山:70年代に若い小田島演劇を良く観ていた。
岡本:色々な役者がいるが、小田島さんはリズムが良い。会話として成り立っている。ダジャレが素晴らしい。
18:38終了
 

 
杉並区荻窪界隈
教会通りを通っていたら
「ラベイユ グテ」閉店のお知らせ
近くの本店に併合されたらしい
 

オペラシティ
ヘブンアーティストの演奏
 

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リチャード三世の魅力
案内
 

舞台を間近に見た
 

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