毎日新聞 夕刊 2011年3月7日(月)
小玉祥子
「シェークスピア原作のミュージカル化。ジェラール・プレスギュルヴィック作。小池修一郎潤色・演出。曲も印象的な見応えある舞台だ。
ヴェローナの名門、モンタギュー家の息子ロミオ(音月桂)はベンヴォリーオ(末涼亜希)とマーキューシオ(早霧せいな)に誘われて出かけた。対立するキャピュレット家の舞踏会で娘のジュリエット(舞羽美海、夢華あみ=休演中)と恋に落ちる。
先祖代々の恨みから、相手への憎しみを募らせる若者たち。そのエネルギーが、冒頭の広場での激しい群舞から噴出する。青が基調のモンタギュー、赤が基調のキャピュレットの衣装が鮮やかで両者の対立を目にも明らかなものとする。
そのくびきから逃れようとするロミオとジュリエットに、ジュリエットのいとこで彼女を思慕するティボルト(緒月遠麻)がからんで悲劇が起こる。
ロミオの純粋さ、率直さを音月が清涼感をもって造形する。ジュリエットと2人で愛を歌い上げる「エメ」の伸びやかさが心地よい。舞羽は初々しく、切なく、愛に生きる少女を表現した。
激しいマーキューシオ、内省的な面を持つベンヴォーリオの対照を早霧と未涼が出した。緒月は抑えきれぬ激情を持つ青年を力強く演じた。沙央くらまのジュリエットの乳母が明るく愛情豊か。一樹千尋、晴華みどりが好助演。20日まで。」
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