2010年11月20日土曜日

備忘録 曲を楽しむなら このオペラ

平成22年11月20日(土)
NIKKEI プラス1 より
非常に参考になった記事なので
備忘録として残したいと思う。
 
「曲を楽しむなら このオペラ」
 芸術の秋も終盤。オペラを鑑賞したいと思いながらも何となく敬遠している人も多いだろう。だがドラマや映画などで聞いたことのあるオペラの名曲は少なくない。初心者がまずオペラの音楽に親しむなら何がおすすめか。演目と曲名を専門家に選んでもらった。
 最も多くの支持を集めたのがビゼーの「カルメン」。12人の選者の全員が推した。「ハバネラ」「花の歌」「闘牛士の歌」などは曲名は知らなくても大抵の人が耳にしたことがある名アリア(独唱)。「前奏曲」の沸き立つようなリズムも有名。美しく親しみやすい音楽がちりばめられている。
 2位「椿姫(ラ・トラヴィアータ)」はすすり泣くような弦の前奏曲で始まり一転して華やかな「乾杯の歌」につながる展開が鮮やか。「ああ、そはかの人か」から続く「花から花へ」はソプラノの聞かせどころだ。
 3位「トゥーランドット」の「誰も寝てはならぬ」はトリノ冬季五輪で荒川静香選手が演技に使い、よく知られるようになった。作曲家ではプッチーニ、モーツァルトに人気が集まった。
 実際に劇場に足を運んでみるのが理想だが、初心者の場合、筋書きを追いながら、音楽、舞台装置、衣裳などを楽しむのは大変と感じる人もいるだろう。音楽だけならCDやDVDでも手軽に聴くことができる。まず歌を切り口に深遠なオペラの世界に足を踏み入れるのも良い。
 
第1位:「カルメン」:ビゼー
 スペインで自由奔放に生きる女カルメンと、彼女に心を奪われ、仕事も婚約者も捨てて追いかける衛兵伍長ドン・ホセとの恋愛や葛藤を描いた悲劇。カルメンが男たちを挑発する『ハバネラ』、ホセがカルメンへの愛を歌う『花の歌』、ホセの恋敵となる闘牛士エスカミーリョが歌う『闘牛士の歌』など有名な曲が満載。
 『ハバネラ』は流浪の民の血を引き、男に妥協しないカルメンの特異な性格を表現している。
 『花の歌』は恋心をこれほど切々と表現しているテノールを知らない。

第2位:「椿姫(ラ・トラヴィアータ)」:ヴェルディ
 19世紀、パリの裏社交界。知性的で美しい高級娼婦(しょうふ)ヴィオレッタと地方出身の純情な青年アルフレードとの悲恋を描いた。タイトルの「ラ・トラヴィアータ」はイタリア語で「道を踏み外した女」という意味。アルフレードが乾杯の音頭を歌い出す華やかな旋律の『乾杯の歌』、うたげの後、ヴィオレッタが歌う『ああ、そはかの人か』や『花から花へ』などが有名。
 『乾杯の歌』は豪華なパーティー会場での楽しい3拍子。
 『ああ、そはかの人か』は、ヴィオレッタの揺れる女心が聞きどころ、真実の愛の崇高さを歌いつくしている。
 
第3位:「トゥーランドット」:プッチーニ
 中国皇帝の娘トゥーランドットとの結婚は3つの謎解きが条件で失敗すれば死が待っていた。カラフは女奴隷リュウが止めるのも聞かず挑戦し成功。結婚を嫌がる娘にカラフは自分の名前を当てれば命を差し出すと提案。娘はリュウを追求するがリュウは自害。心を打たれた娘はカラフと結ばれる。
 『誰も寝てはならぬ』は、イタリア・オペラの声の悦楽が満喫できる名アリア、高音域を得意とするテノール歌手の一声で場面を大きく盛り上げ、客席の喝采をさらう。
 
第4位:「蝶々夫人」:プッチーニ
 長崎の芸者、蝶々さんと米国海軍士官ピンカートンとの結婚と破たんを描いた。ピンカートンが帰ると信じて蝶々夫人が歌う『ある晴れた日に』などが有名。これぞプッチーニの泣き節、蝶々さんの名アリアが胸を打つ。このほか『お江戸日本橋』など日本の歌も随所に現れる。
 
第5位:「フィガロの結婚」:モーツァルト
 貴族を庶民代表フィガロが一泡吹かせるという筋書き。笑いに包まれた喜劇の代表作。「セビリアの理髪師」の続編にあたる。『恋とはどんなものかしら』はこの演目のなかでも最高の名曲。恋へのあこがれと微妙なときめきを歌わせたら、天才モーツァルトの右に出る者はいない。
 

第6位:「魔笛」:モーツァルト
 王子タミーノが鳥刺しのパパゲーノとともに夜の女王の娘パミーナを救う。大人も子供も楽しめるメルヘン調の物語。あらゆる音楽形式を総合したモーツァルトの傑作。『夜の女王のアリア』は復讐に燃える女王の怒りを超絶技巧で表現した聴かせどころの多いアリア。
 
第7位:「セビリアの理髪師」:ロッシーニ
 セビリアを舞台に町の何でも屋でもある理髪師フィガロの活躍で若い恋人たちが結ばれるまでを描いた喜劇。「フィガロの結婚」の前編。生き生きした旋律が満載、フィガロが歌う『私は町の何でも屋』は聴き手の心を沸き立たせる天才ロッシーニが本領発揮したバリトンの名曲。
 
第8位:「ドン・ジョヴァンニ」:モーツァルト
 好色の貴族ドン・ジョヴァンニが地獄に落ちるまでを描いた。喜劇とも悲劇ともつかない独特のオペラで、二重唱『お手をどうぞ』などが有名。誘惑はオペラの本質、甘い二重唱、女性だけでなく、誘惑のテクニックを知りたい男性にもおすすめ。
 
第9位:「ラ・ボエーム」:プッチーニ
 パリを舞台に詩人ロドルフォら若い芸術家たちの気ままな生活の哀歓を描いた。ロドルフォと恋に落ちる貧しいお針子のミミが自分の身の上を歌った『私の名はミミ』などが有名。若き詩人と貧しいお針子が恋に落ちる瞬間の心の震えを見事に歌い上げた、アンサンブルが素晴らしい。
 
第10位:「トスカ」:プッチーニ
 脱獄した政治犯をかくまった青年画家カヴァラドッシと、その恋人トスカをめぐる悲劇。トスカへの愛をカヴァラッシが切々と歌う『星は光りぬ』はテノールの名曲中の名曲。悲嘆に暮れたトスカが歌う『歌に生き、恋に生き』は大判のハンカチが必携。仕事も恋も両方欲しいという女性におすすめ。
 
*オペラの醍醐味は日常を忘れて別世界を旅することができること。歌と楽器、演劇、美術、衣裳などが一体となった総合芸術がその魅力。
 ただ初心者には難しいと感じることもありますから、まず筋書きが分かりやすい作品から楽しむのがおすすめ。
 「フィガロの結婚」や「蝶々夫人」は歌や曲が有名で公演も多い。

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