新国立劇場 小劇場
16:25~17:25
『焼肉ドラゴン』 シアター・トーク
司会:中井美穂
出席:宮田慶子(芸術監督)
鄭義信(作・演出)
申哲振(金龍吉役「焼肉ドラゴン」店主)
高秀喜(金英順役:龍吉の妻)
初演は08年、今回は再演。鄭さんは新国立では2作目。
宮田さんが、芸術監督1年目でこの作品を選んだのは、前回10ステージで、観れない人が多かったので、この劇場の財産としてやってみたいと思ったから。
鄭さん:再演は大変だと思った。キャストも大変。前回の一人がどうしても出られなかったので、もう一度ゼロから始めようと思った。
前回あんなに大変なことになるとは思わなかった。1ステージ目が開いたとたんに評判になり、とたんにソールドアウトになってしまった。
宮田さん:前回評判の良かった演目の再演ほど、今回こわかったことはない。良かったという思いがトラウマになる。前回は自然に稽古のなかでああなった。
鄭さん:前回のDVDはぜったい見なかった。プレッシャーはあった。3年の間に韓国の女優2人が結婚していた。関係づくりが大切だとスタートした。
再演の稽古は、初日本読み(一人変わっていたから)、2日目から立稽古。すぐに立ちに入った。
やっぱり1からやるんだと思った。もう一度ひとつひとつ積み上げる。前回のことは忘れていた(皆すっかり)。
私はアジア一ひつこい演出家。今日もダメ出しをしていた。
申さん・高さん登場。
宮田さん:今日の参加者は初演を見て、今回も観ている方が結構多い。
申さん:3年ぶりに再演。初演より緊張して大変なことがあった。またやれてうれしい。
高さん:再演が決まったとき、ワクワクしながら待ったのだが、どのように見られたのかが気になる。
鄭さん:書いている世界が70年代の家族達が在日の家族だが、自分達の家族でもある。かつての日本が持っていた共同体、温かい風景を見出している。自分の家族を思いながら観ているのでは。
申さん:今回の役作りは大変だった。
3年前は日本語が分からず大変だった。日本語で感情表現するのが大変だった。アボジ:自分の父親のことを考えた。家族の中での愛がテーマだったので、心配はなかった。皆さんが泣いたり笑ったりしてくれたのが嬉しい。私は実際には子どもはいない。鄭さんは、仕事に対する姿勢がしかりしていたので驚いた。(演出のしつこさにも驚いた)
高さん:しつこいというより、あきらめない。
鄭さん:普通の人がこだわらないことをこだわっている傾向がある。
高さん:自分の母を思いながら役作りをしている。母に似ていると良く言われている。実際はこんない荒っぽくはない。(笑)
中井さん:かわいい。年齢が上の役をされている。
高さん:若い役の出来ると思っているが、老けの役が多い。
鄭さん:高さんはパワフルでキュート。3年前に31歳だったが母親役は高さんしかいないと決めた。千葉さんは頼んだが、他の役はオーディション。千葉さんにもオーディションに出来てくれといったら、べろんべろんに酔って来た。千葉さんはぴったりなのに、自分は違うと言い張っている。
中井さん:すごく肉っぽい演技。
宮田さん:生きていくとは思ったようにいかないことばかり。どうしようもないかも知れないけれど赦して欲しい。
申さん:すべてが自分の人生よりも重い。一番難しい場面は故郷についてしゃべるシーン。初演の最初の稽古で演出家とかなりぶつかった。(摩擦があった)
鄭さん:日本語が上手でないのがリアリティーがある。淡々と語りながら思いが出ている。
申さん:ともかくすばらしい演出家と会えて良かった。
鄭さん:おまけに関西弁だったので苦労されたと思う。韓国の役者は耳が良いのですぐに出来る。
高さん:実際に在日の住人がいるところに行った。私が韓国にいたときには、在日に会うことはほとんどなかった。在日の焼肉屋と話して役に立った。私が在日にはなれない。彼らの心を読むことは出来ない。しかし心は一緒。韓国人としての感情表現が共感されたので同じではないか。
質問:字幕が完璧な関西弁だった。ソウルでは?
鄭さん:ソウルでやるときは済州島のなまりはプサンでも理解出来ないのでソウルの言葉で字幕が出る。
中井さん:高さんのリヤカーへの乗り方。申さんのその引っ張り方。2人の女らしさ、男らしさが素敵。
高さん:待ちに待ってた皆さんに会えてうれしい。俳優は舞台で見せることが出来るが裏方のスタッフのことも誉めて欲しい。
鄭さん:日に日に家族が家族になっていく。お客との一体感が出てくること。一番後ろで観ているが嬉しい。
宮田さん:この財産を大事にしたい。在日のことは韓国でも良く分かっていない。これからも是非続けていきたい。この舞台に桜が散っている。(最初と最後に)
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