2013年2月23日土曜日

小山実稚恵Produce 鍵盤に佇む祈りと歌 ~大バッハとシューベルト 杉並公会堂大ホール 2013.2.23

平成25年2月23日(土)

小山実稚恵Produce
鍵盤に佇む祈りと歌
~大バッハとシューベルト

2013.2.23(土)
15:00 開演 (14:30 開場)
杉並公会堂大ホール


Piano 小山実稚恵

*バッハ、シューベルトと深みのある素晴らしい演奏だった。
小山さんの魅力は演奏の素晴らしさもあるが、演奏後の挨拶で垣間見せるチャーミングな表情も大きいと思う。
男性ファンの心をしっかりと掴んでいるのではないだろうか。
アンコールも2曲演奏。
終演後のサイン会の行列も凄い長さだった。
17時頃終演。

Program

J.S.バッハ:半音階的幻想曲とフーガ ニ短調 BWV903

シューベルト:4つの即興曲 作品90 D899
第1番 アレグロ・モルト・モデラート ハ短調
第2番 アレグロ 変ホ長調
第3番 アンダンテ 変ト長調
第4番 アレグレット 変イ長調

ーーー休憩20分ーーー

シューベルト:4つの即興曲 作品142 D935
第1番 アレグロ・モデラート ヘ短調
第2番 アレグレット 変イ長調
第3番 アンダンテ 変ロ長調
第4番 アレグロ・スケルツァンド ヘ短調

J.S.バッハ/ブゾーニ編曲:シャコンヌ ニ短調

(アンコール)
J.S.バッハ:平均律クラヴィーア曲集 第1巻
プレリュード 第1番 ハ長調 BWV846

シューベルト:楽興の時 第3番 ヘ短調 D780

プロフィール

■小山実稚恵 Michie Koayama (ピアノ)
人気・実力ともに日本を代表するピアニスト。チャイコフスキー国際コンクール第3位、ショパン国際ピアノコンクール第4位という、二大コンクールともに入賞した日本人で唯一のピアニスト。
コンチェルトのレパートリーは60曲にも及び、国内外のオーケストラや著名指揮者とも数多く共演を重ねている。2012年10月にはフェドセーエフ指揮チャイコフスキー・シンフォニー・オーケストラ(モスクワ放送響)とのツアーも行った。
2006年からはBunkamuraオーチャードホールにて春・秋年2回ずつ2017年までの壮大なプロジェクト“12年間・24回リサイタル・シリーズ”を開始。小山の演奏活動の集大成とも言うべきこのシリーズは、考え抜かれた構成のもと毎回テーマとカラーを設定し、全24回のプログラムをスタート時にすべて発表したことでも大きな注目を浴びた。公演は全国7都市(東京、大阪、札幌、仙台、名古屋、福岡、北九州)において進行中。
杉並公会堂では、「小山実稚恵Produce」と銘打ち、現在は毎年1回のペースで趣向を凝らした内容によりシリーズ公演を継続している。
2010年には、第16回ショパン国際ピアノコンクール(ポーランド)に審査員として参加。また、2011年の東日本大震災以降、東北出身ということもあり「被災地に生の音を届けたい」との強い思いで、岩手、宮城、福島の被災地の学校や公共施設等で演奏を続けている。
CDは、ソニー・ミュージックジャパンインターナショナルと専属契約を結び26枚をリリース。最新CD「ヴォカリーズ」はレコード芸術誌特選盤に選ばれ、2013年4月17日には27枚目「シャコンヌ」のリリースを予定している。
2005年度文化庁芸術祭音楽部門大賞。
東京藝術大学、同大学院修了。吉田見知子、田村宏両氏に師事。

◎バッハとシューベルトの二人の作品を組み合せた理由は・・・
バッハとシューベルトは全く違う個性を持つ作曲家だが、二人とも、止め処なく音楽が湧き出てきた作曲家だった。バッハの作品数の多さは特別だが、シューベルトも、書く時間だけが必要と言われるほど筆が速く、曲によっては数時間で作曲してしまったものすらある。枯渇しない音楽性は二人に共通している。生活の面ではバッハが多くの子供に恵まれ、生活のために様々な事柄を自ら拓いた作曲であったのに対し、シューベルトは結婚することもなく、音楽以外のことに関してはほとんど興味がなかった。二人の音楽観と人生観に於いての対比が非常に面白いと考えた。バッハに感じる「縦の音楽」、そしてシューベルトの「横の音楽」というイメージ。それらを組み合わせてみたかった。

プログラムは、バッハの半音階的フーガから始まる。
ピアニストを目指すものは皆、バッハの勉強をする。

シューベルトの即興曲は8曲ある。
作品92の4曲と作品142の4曲で、シューベルトの晩年亡くなる前年に全て創作された。
・・・晩年というと老いたイメージだが、シューベルトの晩年とは30歳のことで持ち時間が非常に少なく気の毒。没年の前年は1827年(この年はベートーヴェン逝去の年)、彼は残された少ない時間を予感しつつ、美しい珠玉の8曲を作曲。一曲ずつ綺麗に書けたことに満足したようだ。

コンサートの最後はバッハのシャコンヌ。
これは無伴奏ヴァイオリンのためのパルティーク第2番の最後の曲“シャコンヌ”を、フェルッチョ・プゾーニという巨匠ピアニストがピアノの独奏版に編曲したもの。
・・・この曲の見どころは。
バッハは、楽器や時代を超えて作品の素晴らしさを伝える作曲家だが、プゾーニが編曲したものでもバッハの良さが生きている。これはオリジナルと違い、変奏曲になっており、それがまたピアノの魅力も引きだしつつバッハの旋律が身体に注ぎ込まれる。
バッハの音楽は編曲や違う楽器で演奏しても、根底に普遍性がある。また、プゾーニという巨匠音楽家で腕のあるピアニストが大掛かりな編曲を施した作品ということで、二人の出会いから生まれた類まれなるピアノの独奏版となっている。

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