2012年9月26日水曜日

東京藝術大学 第3回Dコンサートの​お知らせ

東京藝術大学 第3回Dコンサートの​お知らせ

東京藝術大学大学院音楽研究科リサーチセンターよりイベントの案内

第1、2回の学内開催を受け、この11月、第3回「Dコンサート」を表参道「パ
ウゼ」に場所を移し、開催することになりました。
 
「Dコンサート」はご存じのとおり、博士課程を修了したアーティストが研究の
成果をクリエイティヴな方法で発信する音楽イベントです。
第3回のテーマは、「交錯するアイデンティティと音楽する意志」。今日のグロ
ーバル化・情報化が進んだ社会では、人々の多様なアイデンティティが複雑
に交錯し合っています。そうした中で、3人の若いアーティストたちが「日本人
であること」に戸惑いを感じつつも、研鑽を積み、音楽するという意志をもって、
日本で生み出された音楽を表現していきます。
 
■日時: 2012年11月16日(金)開場18:30 開演19:00
■会場名: カワイ表参道コンサートサロン「パウゼ」
■入場料: 3000円(全席自由)
 
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◎出演者とプログラム

1. 菅野雅紀(ピアノ)「演奏解釈における『想像力』と『歪形』:武満徹の思索
 をもとに」
 武満徹 《ロマンス》
 三善晃 《子守歌》
 間宮芳生 《3つのプレリュード》より〈夕日のなかの子供達〉
 
2. 飯島香織(声楽)「オペラの日本語歌唱とその表現方法」
 三木稔 オペラ《春琴抄》 原作:谷崎潤一郎  台本:まえだ純
 第1幕「雪」のコーダ〈こいしきひとは罪深く思わぬ〉
 ~春琴のアリア〈新肌に結い髪の乱れ〉
3. 角田剛士[新内剛士](三味線音楽)「上調子の変遷を通してみる三味線
 音楽の美」
 五代目富士松加賀太夫 《梅雨衣酔月情話》
4. 3人のコラボレーション
 丸山和範 《秋刀魚の歌》 作詞:佐藤春夫
 佐藤岳晶 【新作委嘱】
 山田耕筰 《赤とんぼ》 作詞:三木露風  委嘱編曲:佐藤岳晶
助演者:安嶋三保子(箏曲)、友常聖武(尺八)、新内仲之介(上調子)

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◎プログラム紹介
○ 菅野雅紀 Masanori SUGANO(ピアノ)
「演奏解釈における『想像力』と『歪形』:武満徹の思索をもとに」

 演奏行為において、「楽譜への忠誠」と「作曲家の意図の尊重」は、必ずし
も一致するものではありません。武満徹の作品や晩年の言説を読み解くと、
演奏において重要なのは作曲家の単純な追体験を目指すことではなく、音
楽のもつ「想像力」を喚起するために作品を「歪形」させることであると示唆さ
れています。私の博士論文では、武満のこうした思索について、新しい演奏
解釈の規範として再評価しました。本日はその一部をご紹介しながら、実際
の演奏をお聴きいただきます。

 第48回全日本学生音楽コンクール全国大会1位、第6回ルドミラ・K=H国
際ピアノコンクール1位、第25回ポルト国際音楽コンクール3位をはじめ、国
内外のコンクールで優勝・入賞。国内外で演奏活動を行う。東京藝術大学ピ
アノ科、武蔵野音楽大学講師。
平成21年度 博士号取得 「武満徹作品における記譜の諸相とその演奏解釈」

○ 飯島香織 Kaori IIJIMA(声楽)
「オペラの日本語歌唱とその表現方法」

 オペラで歌われる日本語は聞き取りづらいなど、日本語歌唱の問題は常々
指摘されてきました。私はこの問題を考えるにあたりオペラ《春琴抄》をケース
スタディとして取り上げ、音節単位で捉えた日本語の発音と西洋発声の融合
に試みました。またこの作品には地歌が引用され、そこからメロディーが派生
していることから、地歌の表現方法などをヒントに日本語のオペラ歌唱表現の
可能性を追究しました。Dコンサートでは、地歌という私にとっての異文化体
験!?を通して発見した日本語表現の美しさを、演奏と共に皆様に発表させて
いただきたいと思います。

 平成14年学部卒業時に松田トシ賞を受賞。第71回日本音楽コンクールに
て日本歌曲最優秀者に贈られる木下賞を受賞。《フィガロの結婚》(スザンナ
役)でオペラデビュー。三木稔のオペラ作品では《鶴》、《じょうるり》等に出演。
NHK-FMリサイタル他、様々なコンサートに出演している。
平成21年度 博士号取得 「オペラ《春琴抄》の歌曲研究」

○ 角田剛士[新内剛士] Takeshi TSUNODA(三味線音楽)
「上調子の変遷を通してみる三味線音楽の美」

 約280年前の江戸にあった音とは、どのようなものなのだろうか。またそこ
に、どういった美意識があったのだろうか。書記ではなく口伝中心に受け継
がれてきた邦楽は、伝統的にそれを再現することが必務である一方、そこに
ある普遍的な魅力を取り出し、現代とどのように関わっていくのかが大きな
課題であります。博士論文では時代や環境、派閥によって上調子が琴(箏)
に取って代わったとした経緯を研究しました。今回は、上調子の変遷を通じ
て三味線音楽の美、今に息衝く和の音についてご紹介します。

 6歳より父の新内仲三郎に新内節を師事。常磐津節を常磐津文字兵衛に
師事。平成16年に東京藝術大学常英賞、平成21年に財団法人清栄会奨励
賞を受賞。歌舞伎公演や三越劇場公演、紀尾井ホール公演などに出演。作
曲に《窯変源氏物語》や《土御門大路》など多数。
平成22年度 博士号取得 「琴(箏)を通した上調子の発生と発達」

○ 佐藤岳晶 Takeaki SATO(作曲)
 桐朋学園大学にてピアノを、パリ国立高等音楽院にてエクリチュール(作曲
技法)を修める。他方、地歌箏曲を二代 米川文子師(人間国宝)に師事し「三
曲奨励会」ほか出演。音楽の多言語性を志向した創作・演奏活動を行う傍ら、
その研究にて東京藝術大学大学院音楽文化学専攻 (芸術環境創造)修士課
程修了。桐朋学園大学、国立音楽大学非常勤講師。

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