東京オペラシティのヴィジュアル・オルガンコンサート 96
2011年7月22日(金)11:45~12:30
東京オペラシティ コンサートホール
出演
崎山裕子(オルガン) Yuko SAKIYAMA,organ
国立音楽大学ピアノ専攻を卒業後パイプオルガンに転向。聖グレゴリオの家宗教音楽研究所でオルガンと教会音楽を学び、スイスのバーゼル音楽院に留学。ギ・ボヴェ氏に師事し最優秀でコンサート・ディプロマを得て卒業した。ボストン・ニューイングランド音楽院への短期留学を経て、1998年に帰国。2003年、立教学院オルガニストに就任。他に、東海大学の非常勤講師を務めている。
プログラム
1 エルガー(1857ー1934):ソナタト長調 op28-1 より第1楽章 約9分
英国を代表する大作曲家エルガーは、一時期カトリック教会のオルガニストを務めていました。しかし、あまり興味のある仕事ではなかったのか直ぐに辞めてしまい、オルガン曲も少ししか書いていません。1895年春、ウースター大聖堂のオルガニストは、夏に迎えるアメリカからの訪問者たちの前で演奏しようと、エルガーにオルガン曲の作曲を依頼しましたが、この4楽章からなる壮大なオルガン・ソナタが完成して届けられたのはコンサートの5日前で、悲惨な初演に終わったというエピソードが残っています。
2 ハウエルズ(1892ー1983):詩編前奏曲第1番 詩編 34編 6節 約7分
ハウエルズもイギリスの作曲家・オルガニストで、英国協会の典礼のための曲を多数作曲しました。聖書の詩編34編6節には次のように書かれています。「苦しむものが主に叫ぶと、神は聞き」 この言葉を噛みしめるように次第に熱を帯びる広大な曲想は、東京オペラシティのオルガンの魅力を最大限に発揮させます。最後の静かな音色は「天の声」という意味のVoix Celesteというストップを使用します。
3 ホーリンズ(1865ー1942):トランペットメヌエット 約4.5分
ホーリンズはスコットランド出身の、盲目のオルガニスト・作曲家です。ベルリンのハンス・フォン・ビューローの元で学び、リスト、シューマンのピアノコンチェルトとベートーヴェンの「皇帝」の3曲を一晩のコンサートで演奏しました。その後はオルガニスト・作曲家に転身し、ノーウッドの教会で演奏したり、ニュージーランドや南アフリカにてコンサートを行ったりと活躍しました。この曲は、トランペットの音(第1鍵盤と第3鍵盤のトランペット風なストップを使用します。)による、明るく軽やかなメヌエットです。
4 ロースソン(1905ー1971):「ロンドンデリーの歌」による前奏曲 約4.5分
アイルランド民謡のこの曲は、違う歌詞をはめて礼拝で賛美歌として歌われています。北アイルランドのロンドンデリー州で人から人へ伝承されていた曲でしたが、1850年代に器楽曲として楽譜にされました。賛美歌以外にも様々な歌詞によって歌われ、世界で最も広く親しまれるアイルランド民謡と言えるでしょう。立教大学の礼拝でも人気トップ3に入る。美しい郷愁を帯びたメロディーです。
5 いずみたく(1930ー1992):見上げてごらん夜の星を 約3分
いずみたくは、歌謡曲、フォークソング、アニメ、童謡、校歌等幅広いジャンルを作曲し、総作数は約15,000曲にのぼるという多作家でした。この曲は同名のミュージカルの主題歌で、1963年に坂本九によって歌われ、ヒット作となりました。
希望の光が身出せない今こそ、オペラシティの高い天井を見上げて、勇気が沸くようにご一緒に大きな声で歌いましょう!
6 ウオルトン(1902ー1983):戴冠式行進曲「王冠」 約7分
先日のウイリアム王子とキャサリン妃の結婚式の時に、オーケストラによって演奏された曲です。ウオルトンはほぼ独学で音楽を学び、英国の演劇や映画の音楽、室内楽、声楽曲などを残しています。この曲は1937年、ジョージ6世の戴冠式の為に作曲されました。とても溌剌とした行進曲のA部分→一転して穏やかな雰囲気のB部分→A→Bと続き、壮大なコーダでしめくくられます。
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