平成23年10月16日(日)
東京藝術大学の奏楽堂で多美智子さんの退任記念演奏会がひらかれた。
開場時間(2時半)の約30分前から並ぶ。
今日は久しぶりに暑く(30度近くか)、直射日光を浴びるとひどい目に会うので列も工夫して影を求めて曲がっている。
会場はだいぶ混んでいた。
演奏は、まず多美智子さんと娘さんの紗於里さんの連弾からスタート。
モーツァルトの2台ピアノのためのソナタ ニ長調 K.448(375a)。
この曲はモーツァルトが完成した唯一の2台ピアノのためのソナタ。
モーツァルトは若い時分からピアノに馴染み、シュタインやワルターらが製作するウィーン式ピアノの改良、完成、興隆の過程をともに歩んで、軽いタッチ、繊細な音色、玉を転がすようなパッセージ等々、まさに[歌うアレグロ]と呼ばれるにふさわしい華麗なピアノ音楽の世界をきり拓いた。
2曲目は、再び二人でラヴェル ラ・ヴァルスー管弦楽のための舞踏詩(2台ピアノ版)。
2台ピアノ用レパートリーの最高峰のひとつと目される〈ラ・ヴァルス〉は、〈管弦楽のための舞踏詩ーラ・ヴァルス〉(1919~20年作曲)の作曲者自身による編曲。
素晴らしい演奏に大きな拍手が。
休憩25分。
ショパン ピアノ協奏曲第2番 ヘ短調 作品21(ピアノと弦楽四重奏による)。
当演奏会のプログラムは、前半に18世紀ウィーン古典派と20世紀フランス近代音楽を配した後、後半ではそれらの中間に位置する19世紀ロマン派のショパンを置くという構成の妙に加え、これら3曲を通して、オリジナルな2台ピアノ作品、管弦楽曲の2台ピアノ編曲、ピアノ協奏曲の室内楽版、という多彩な形態が示されている。
ピアノと弦楽四重奏の掛け合いが素晴らしく最後まで聞き惚れてしまった。
演奏後、多美智子さんの足が辛そうだったが、久しぶりにヒールの靴を履いたら足が吊ってしまったとのこと。
感動的な挨拶で終演。
Profile
多美智子
東京藝術大学音楽学部附属音楽高等学校を経て、東京藝術大学、同大学院、シュトゥットガルト国立芸術大学演奏家コース修了。
第35回日本音楽コンクール第1位。1982年~1987年シュトゥットガルト音大にて教鞭をとる。
1989年4月東京藝術大学音楽学部非常勤教師。
1996年4月東京藝術大学音楽学部助教授。
2003年4月東京藝術大学音楽学部教授。
2006年4月東京藝術大学音楽学部附属音楽高等学校長を兼任。
2011年3月東京藝術大学教授、同大学音楽学部附属音楽高等学校長を定年退職。
同年4月東京藝術大学名誉教授。
松原勝也(ヴァイオリン)
東京藝術大学卒。現在、東京藝術大学音楽学部教授。
山崎貴子(ヴァイオリン)
東京藝術大学および同大学院修士課程を修了。現在、東京藝術大学にて後進の指導にあたる。
百武由紀(ビオラ)
東京藝術大学音楽学部附属音楽高等学校を経て、同大学卒業、同大学院修了。現在、愛知芸術大学教授、東京音楽大学講師。
苅田雅治(チェロ)
桐朋学園大学卒業。1973年第42回日本音楽コンクール・チェロ部門第1位。
現在、東京音楽大学教授、桐朋学園大学講師。
多紗於里(ピアノ)
2歳の時、両親に伴って渡独。16歳でシュトゥットガルト国立芸術大学に入学、同大学院修了。22歳でアメリカに移り、インディアナ大学でアーティストディプロマ取得。ウィスコンシン大学院室内楽科ディプロマ修了に続いてニューヨーク州立大学、ピアノ演奏家博士課程修了。博士号取得。
現在、尚美ミュージックカレッジ専門学校、尚美学園大学講師。
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