2011年12月25日日曜日

杉並公会堂でコバケンの第九を堪能する

平成23年12月24日(土)
15:00~16:30

杉並公会堂大ホールで年末恒例のベートーヴェンの交響曲第九を堪能した。

指揮の小林研一郎のエネルギッシュな指揮ぶり。
楽団員の乗った演奏。
素晴らしい合唱。
独唱の素晴らしさ。
本当に楽しかった。

コバケンの第九

Beethoven Symphony
Japan Philharmonic Orchestra
Ken-ichiro Kobayashi,conductor

指揮:小林研一郎(日本フィル桂冠指揮者)
管弦楽:日本フィルハーモニー交響楽団

Message from 杉並公会堂ー

杉並公会堂は今年、開館5周年を迎えました。リニューアル以降、
多くのお客様にご来場いただきました。この場をお借りして厚く御礼申し上げます。
本日は当館を拠点として活動する日本フィルが桂冠指揮者:小林研一郎の
タクトにより最高の布陣で「第九」を高らかに謳いあげます。
それでは5周年の記念碑的なコンサート、白熱の演奏をお楽しみください。

■J.S.バッハ G線上のアリア(管弦楽組曲第3番ニ長調BWV1068 第2曲)
ヨハン・セバスティアン・バッハ(1685ー1750)の世界・・・ それは、無限に広がる大宇宙のようで、ひとりの人間にこんなに才能があるものなのかと不思議になるくらいです。しかし、彼はエキセントリックな芸術家タイプではなく、職業人として教会でのさまざまな仕事にとりくみ、妻やおおぜいの子どもたちとの家庭生活もたいせつにした、足が地についた市民でした。
数多くのバッハの作品の中でも、この曲は特に有名です。原曲の「管弦楽組曲第3番」は、3本のトランペットとティンパニが入った、祝祭的な機会のために書かれた華麗で勇壮な作品ですが、《G線上のアリア》として知られる第2曲は、オーケストラ用に編曲されて、単独でも頻繁に演奏されます。
編成は弦楽合奏のみ。第1ヴァイオリンで演奏される有名なメロディーは、ゆったりと動きながらさまざまな声部とからみあって夢見るような静かな雰囲気を織り成し、それを支える通奏低音も、忘れがたい印象を残します。多くの人々に安らぎを与える佳曲として、世界中で愛されている作品です。

■ベートーヴェン 交響曲第9番ニ短調 op.125《合唱》
文豪ゲーテと並び称されるドイツ古典主義の詩人フリードリヒ・フォン・シラー(1759ー1805)の頌歌「歓喜に寄す」が書かれたのは1785年。その4年後にはフランス革命が火蓋を切るという、ヨーロッパでは疾風怒濤の激動を迎えた時代でした。そのような時代に青春時代を過ごし、時の空気に大いに触発されたルートヴィッヒ・ヴァン・ベートーヴェン(1770ー1827)は、フランス革命の掲げた"自由・平等・博愛"の理想に強くとらえられ、この「歓喜に寄す」にもとづく作曲というアイディアを抱き始めたのです。
この「第9」創作のスケッチが、ベートーヴェンの作曲ノートに現れ始めるのは1818年頃で、早くも第1楽章の断片がそこに見られます。その後しばらくは《荘厳ミサ》《ディアベッリ変奏曲》《ピアノ・ソナタ第29番(ハンマークラヴィーア)》など晩年の他の大作に没頭しており、4年間の空白期間を経た1822年頃に再着手、翌23年には第1楽章から第3楽章までの主要な楽章が出揃い、1824年2月中旬までには全曲を脱稿しました。この完成のほぼ半年前に、それまで別構想として持っていた「歓喜に寄す」のカンカータを、交響曲の終楽章に加えることを決めています。
着想からほぼ4年半、「歓喜に寄す」の音楽化構想から数えれば約30年を費やしたベートーヴェンの畢生の創作は、"合唱付交響曲"という、それまでに例をみなかった斬新さをもって現れたのでした。そして管弦楽の"響き交わし(Sym-phonia)"から出発した交響曲の分野に新たな時代が開かれたのです。
初演の際、すでに聴覚を失っていたベートーヴェンにはこの作品を完全に指揮することは不可能でした。しかし彼はあくまでも自作自演の意思を捨てなかったため、補助指揮者としてウィーンの宮廷楽長ウムラウフを立て、その結果ステージの上には二人の指揮者が現れるという前代未聞のステージとなったものです。終演後、聴衆から湧いた盛大な拍手が聞えず、聴衆に背を向けたままの作曲家に、アルトの独唱者が袖をひいてその様子を示し、ようやく気づいたベートーヴェンが不器用な挨拶を返したのでした。

●第1楽章
アレグロ・マノン・トロッポ、ウン・ポーコ・マエストーソ、ニ短調。冒頭の弦楽による空虚五度のトレモロは、天地創造のカオスを思わせるように不安定に響き、その後第1主題が、荘厳に下降するニ短調の分散和音型として呈示され、変ロ長調の穏やかな第2主題を経て綿密に構成された展開部に至ります。

●第2楽章
モルト・ヴィヴァーチェ、ニ短調。ベートーヴェンが得意としたスケルツォ楽章。外観は中間にトリオ部を持つ伝統的な三部形式ですが、両端のスケルツォ主部それ自体がソナタ形式(主題の呈示~展開~再現)という"入れ子構造"にもなっています。

●第3楽章
アダージョ・モルト・エ・カンタービレ、変ロ長調。瞑想的な第1主題と、アンダンテ・モデラート・ニ長調の第2主題が交互に現れます。厳しい表情の前2楽章に対し、ここでは天国的な安息感が支配的です。

●第4楽章
プレスト、ニ短調。オーケストラのみによる序奏は、不協和音の爆発と、低弦の重々しいレクタティーヴォにより始まります。このモティーフは前3楽章の主題をすべてー第3楽章アダージョの安らぎをもー否定し、やがて"歓喜の主題"が歌われ始めます。続いて独唱と合唱のかけ合い、テノールの英雄的なソロ、宇宙の神秘にひれ伏すごとき荘厳な祈りを経て、壮大な二重フーガが展開しクライマックスを迎えます。独唱のカデンツァ風の部分ののち、合唱とオーケストラの白熱するうちに全曲が閉じられます。

■小林研一郎 Ken-ichiro Kobayashi 日本フィル桂冠指揮者
東京藝術大学作曲科および指揮科を卒業。第1回ブダペスト国際指揮者コンクール第1位、特別賞受賞。
現在、アーネム・フィルハーモニー常任指揮者(オランダ)、ハンガリー国立フィル、日本フィルおよび名古屋フィルの桂冠指揮者、読響の特別客演指揮者、九響の首席客演指揮者、東京藝術大学および東京音楽大学名誉教授。

■岩下晶子 Shoko Iwashita ソプラノ
静岡県出身。国立音楽大学音楽教育学科卒業。東京藝術大学大学院音楽研究科修士課程独唱専攻、及びマネス音楽院プロフェッショナル・スタディーズ・ディプロマ課程を修了。
現在東京藝術大学大学院博士後期課程に在籍し、主にアメリカ芸術歌曲について研究している。
修士課程に進学する前には東京混声合唱団に在団し研鑽を積む。第77回日本音楽コンクール声楽部門(歌曲)第1位。
文化庁の平成22年度新進芸術家海外研修制度1年派遣研修員を務める。

■栗林朋子 Tomoko Kuribayashi メゾソプラノ
東京藝術大学および同大学院修了。日本音楽コンクール第1位ほか受賞歴多数。五島記念文化賞オペラ新人賞を受賞し渡独。
確固たる歌唱技術と深々とした豊かな声量、音楽への真摯な姿勢は高く評価されている。二期会会員。

■錦織健 Ken Nishikori テノール
国立音楽大学卒業。文化庁オペラ研修所第5期修了。文化庁在外研修員としてミラノに、また、五島記念文化財団の留学生としてウィーンに留学。第17回ジロー・オペラ新人賞、第4回グローバル東敦子賞、第1回五島記念文化賞新人賞、第6回モービル音楽賞洋楽部門奨励賞受賞。

■青戸知 Satoru Aoto バリトン
東京藝術大学卒業。同大学院、文化庁オペラ研修所修了。文化庁派遣で渡伊。二期会『ワルキューレ』で一躍脚光を浴び、第24回ジロー・オペラ新人賞受賞。
殊にマーラー「さすらう若人の歌」の演奏は他に比肩するものがなく、また「第九」の演奏は他の追随を許さない。二期会会員。

■東京音楽大学合唱団
東京音楽大学合唱団は、1979年以来毎年続いている日本フィルとの「第九」をはじめ、
国内外のオーケストラと数多く共演している。

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