モーニングコンサート 第5回
東京藝術大学奏楽堂
2011年6月23日(木) 11:00~11:55
指揮:ダグラス・ボストック
演奏:藝大フィルハーモニア
指揮者が出て来て最初にプログラムの一部変更を説明。
まず、
メンデルスゾーン:演奏会用序曲「フィンガルの洞窟」
からスタートした。
前半の作曲の曲が約10分と短めなのと、現代音楽からスタートに少し躊躇したのかもしれない。
良い演奏だったので納得。
前半
◆内門卓也(4年) Takuya Uchikado
内門卓也:From the bottom of the valley
(演奏時間約10分)
1988年 東京生まれ。
東京都立芸術高等学校ピアノ専攻を経て、現在、東京藝術大学音楽学部作曲科4年在学中。
2011年 学内にて長谷川賞受賞。
(内門 記)
作曲とは心の中にある抽象的なもの、曖昧なものを音に置き換える作業だと思う。作曲家はその手段として音符を書くわけだが、意図した通りに音が響くとは限らないし、一番大きな問題は、仮に意図した通りの音が響いたとしても、それを聴いて感じることは人それぞれ異なるということだ。
過去の多くの偉大な作曲家もまた、聴き手との間に起こる解釈のすれ違いに悩まされてきたことはよく知られている。ただ、それでも私は自分が何か“イメージ”をもって作曲した場合、その“イメージ”を聴き手と共有したいと思っている。聴き手の心にどう響くのかということまでコントロールしようとすることは、作曲家のエゴだといわれるだろうか。
では、本作品が表現するものとは何か。私はある“イメージ”をもって書きはじめたのだが、正直なところを言えば、当初の“イメージ”はもはや本作品にはあまり反映されておたず、はじめて挑戦するオーケストラという巨大な装置を扱う葛藤が前面に出ることになった。オーケストラという編成は、多くの楽器が登場するということはもちろんだが、その構成により多様な響きの可能性が生まれ、そこから具体的にどのような音や楽器を選択するかはさらに困窮を極める。その構成と選択をめぐる葛藤のなかで、私の“イメージ”は自分自身の心境へと変わっていった。
作曲中を振り返ると、私の“イメージ”をどのようにすれば具現化することができるのだろうか、さらにはそれが聴き手に伝わることなどあり得るのだろうかという不安が、自分のなかで大きな部分を占めるようになり、楽想にも反映されていった。それはまさに、日の差し込まない谷底で一人もがき苦しむようなものであった。例えば、全曲を通じて登場する3音からなる不行音型は「不安」のモチーフともいえるし、変拍子によるtuttiの強奏部分は「心の叫び」かもしれない。そして、その「不安」や「心の叫び」といった不協和音に引き裂かれながらも、私は“イメージ”と心境の揺れとの間で、一つのオーケストラ作品を成立させようとした。本作品のタイトルは、作曲家と聴き手との間に存在するであろう、音楽の“イメージ”をめぐる大きな隔たりに由来している。
本日お越しくださった皆様には、作曲者(=私)の“イメージ”の谷底(the bottom of the valley)を感じとっていただければ幸いである。
後半
◆金持亜実(修士3年) Ami Kanaji
E.グリーグ:管弦楽つきの6つの歌 EG.177
神奈川県出身。東京藝術大学音楽学部声楽科卒業。現在、同大学大学院音楽研究科修士課程独唱科3年次に在籍。
オペラ『フィガロの結婚』、『魔笛』、『ジャンニ・スキッキ』、『椿姫』などに出演した他、ソリストとしては、第343回藝大フィルハーモニア合唱定期演奏会シューマン作曲・オラトリオ『楽園とペリ』、ハイドン『チェチーリア・ミサ』、ベートーベン『合唱幻想曲』に出演した。
1.ソルヴェイグの歌(イプセン・詩/ヘンツエン・訳)
劇音楽『ペール・ギュント』の中の一曲。第4幕で歌われる。
2.ソールヴェイグの子守歌(イプセン・詩/ヘンツエン・訳)
劇音楽『ペール・ギュント』第5幕、最後の場面で歌われる。
3.モンテ・ピンチョから(ビョルンソン・詩/ヘンツエン・訳)
イタリア・ローマ郊外にある、夕暮れの美しいモンテ・ピョンチョの丘から見える、ローマの活気ある情景と、ノルウエーの独立への憧れが歌われる。
4.白鳥(イプセン・詩/ヘンツエン・訳)
最後に一声だけ美しい声で鳴く、といわれる白鳥を描写した、大変美しい作品。
5.最後の春(ヴィニエ・詩/ローベダンツ・訳)
弦楽合奏のための『2つの悲しき旋律』の一曲としても知られる。
6.ヘンリク・ヴェルゲラン(パウルセン・詩/訳・不明)
ノルウェーの詩人で、当時の民族主義の文化人のリーダー的存在だったヘンリク・ヴェルゲランを讃えた作品。
※本日は、ドイツ語訳された歌詞で歌わせて頂きます。
前半の現代音楽は心が不安で心配になり落ち着かない雰囲気で聞くことになった。心が乱される。
後半の歌曲はグリーグの良さがよく出ていて好感を持てた。
演奏終了後、学食で盛り合わせ定食を500円で食べる。
ライスは少なめだったが、おかずはたっぷり。
上野駅に向かう途中の東京文化会館では、ソニー相談役だった大賀さんのお別れ会の準備がされていて、ソニー社員の警備が厳重だった。
0 件のコメント:
コメントを投稿