平成26年3月24日(月)
新国立劇場のオペラパレスで
オペラ『死の都』の千秋楽公演を観た
最も有名なアリアは、「マリエッタの唄」と「ピエロの唄。
このオペラがなかなか上演されないのは、主役の二人であるパウルとマリエッタに、きわめて高い技術が要求されているかららしい。
パウル役に挑もうとするテノール歌手は、2時間あまりずっと舞台に留まり、巨大なオーケストラを圧倒しながら歌い続ける体力が要求される。なおかつ、極めて高い音域を要求されるため、配役が非常に難しい。難度の高いマリエッタ役は、これまた難度が高い。
今回の公演は、フィンランド国立劇場歌劇場(ヘルシンキ)からのプロダクション・レンタルでの上演。
愛する亡き妻を悼む男の前に現れたのは妻と瓜二つの女性だった。
甘美な音楽で綴る、喪失と再生の物語。
世紀末の退廃薫る後期ロマン派の傑作。
ベルギーの古都ブルージュを舞台に、愛妻を亡くした主人公パウエルが妻と瓜二つの女性と出会い、倒錯のひと時を過ごす物語を幻想的に描いて、かねてから上演を望まれていた傑作オペラ。ついに新国立劇場に登場。
コルンゴルトは20世紀初頭、ウィーンの神童として人気を博した作曲家。1920年23歳の時に発表した『死の都』は大成功を収め、ヨーロッパ中のオペラハウスでレパートリーになる。しかしながら、ユダヤ系であったコルンゴルトはナチスの迫害を逃れ、その後アメリカに亡命。映画音楽の分野で名声を築き、クラシック音楽界からしばらく忘れられた存在となる。現在では再評価が進み、特に代表作である『死の都』は、世界中でこぞって上演されるようになった。コルンゴルトの音楽は、R.シュトラウス、マーラーを思わせる後期ロマン派の作風で、甘美な旋律と豊潤な管弦楽が魅力。
キャストは、世界的なヘンデルテノール、ケールをはじめ最強の布陣
演出は、気鋭の演出家として世界的に注目されているホルテン。フィンランド国立歌劇場で好評を博した美しく幻想的なプロダクションにより上演。
指揮は、11年「ルサルカ」の名演奏が記憶に新しいキズリング。
難役揃いのキャストには、理想的な歌手陣が揃う。
パウル役のケールは、世界でも指折りのヘンデルテノール。なかでもこのパウル役は自家薬籠中のもの。
マリエッタ/マリーの声役は13年『タンホイザー』エリザベートで、その豊かな美声を披露したミラー。
フランク/フリッツ役は、ヨーロッパで幅広く活躍する実力派バリトンのケレミチェフ。
〔新制作〕
コルンゴルト
死の都
全3幕/ドイツ語上演/字幕付
原作 ジョルジュ・ローデンバック
台本 パウル・ショット(ユリウス・コルンゴルト/エーリッヒ・ヴォルフガング・コルンゴルト)
作曲 エーリッヒ・ヴォルフガング・コルンゴルト
2014年3月24日(月) 14:00 開演
指揮:ヤロスラフ・キズリング
演出:カスパー・ホルテン
美術:エス・デヴリン
衣裳:カトリーナ・リンゼイ
照明:ヴォルフガング・ゲッペル
振付:シグネ・ファブリツィウス
再演演出:アンナ・ケロ
合唱指導:三澤 洋史
音楽ヘッドコーチ:石坂 宏
児童合唱指導:掛江 みどり
舞台監督:斉藤 美穂
合唱:新国立合唱団
児童合唱:世田谷ジュニア合唱団
管弦楽:東京交響楽団
芸術監督:尾高 忠明
パウル:トルステン・ケール
マリエッタ/マリーの声:ミーガン・ミラー
フランク/フリッツ:アントン・ケレミチェフ
ブリギッタ:山下 牧子
ユリエッテ:平井 香織
リュシエンヌ:小野 美咲
ガストン(声)/ヴィクトリン:小原 啓楼
アルバート伯爵:糸賀 修平
マリー(黙役):エマ・ハワード
ガストン(ダンサー):白髭 真二
カヴァー:
ローマン・サドリック(パウル)
増田 のり子(マリエッタ/マリーの声)
萩原 潤(フランク/フリッツ)
小林 由佳(ブリギッタ)
岩本 麻里(ユリエッテ)
鈴木 涼子(リュシエンヌ)
村上 公太(ガストン(声)/ヴィクトリア)
二階谷 洋介(アルバート伯爵)
最後のパウルのアリアにうるっと来てしまった。
終演は、17時30分頃
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